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脳のユーモア回路 -笑いを理解する瞬間-


笑っている少女の画像

テレビをつければいつでもお笑い芸人が面白い漫才やコントをしたり、トーク番組で笑える話をしています。これだけ笑いがあるのに、私たちは「笑い」のメカニズムについてはあまり知りません。 When your brain gets the joke で脳と笑いに関する記事があったので意訳してみました。

ホッキョクグマの画像

二匹のホッキョクグマは大きな流氷のブロックの上に座っています。一匹のホッキョクグマはもう一匹のホッキョクグマにこう言いました。 「知ってるかい? 僕は木曜日だなぁって、ずっと考えているんだ。」

このようなシュールなユーモアの場合、何人かは腹がよじれるほど笑いますが、他のひとは理解できず困惑して微笑むことすらできません。人間にとってジョークは非常に重要であるにも関わらず、脳がどういう反応を示すかを神経科学者が調べられるようになったのは最近10年のことです。この技術の進歩によって、ある冗談が何人かには面白く感じ、何人かにはつまらなく感じるというパズルを解決することができました。

まず、ジョークとは何か知ってますか? 笑いに関する理論は星の数ほどありますが、ジョークとは 『2つの要素の間にある種の不一致があり、面白く意外性のある方法で解決するもの』 という意見の一致があります。

古典的なイギリスのコメディードラマの 『Only Fools and Horses』 では以下のようなシーンがあります。

体調を心配しているトロッター (Dell Boy Trotter) さんが心臓の健康診断のために医者に行った時のことです。医師が 「トロッターさん、あなたは煙草を吸いますか?」 と尋ねました。そしたら彼はこう答えました。「サンキュー、でも今はそんなことはどうでもいいよ。」

このジョークには心臓を心配している患者に対して、医者は「煙草を吸っているか? (肺に関する質問) 」という意外性の不一致があります。このミスマッチを理解できた場合のみ、ジョークだと理解できます。

ノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学のカーリーワトソン (Karli Watson) 博士は次のように言います。「ユーモアは人間の直感的判断能力の賜物であるようだ。ユーモアとは二つの要素間のミスマッチに対する疑問に一瞬考え、少し遅れての理解である。」

では、脳のどの部分がこのプロセスを行うのでしょうか。アメリカ合衆国ニューハンプシャー州ハノーバー市のダートマス大学のジョセフ・モラン (Joseph Moran) は MRI を使ってコメディードラマを見ている被験者の脳を調査する実験を行いました。その結果、面白いジョークに対しては、左後頭部神経の活動が活発になるというパターンが明らかになりました。逆に、頭部正面の神経活動はほとんど反応を示しませんでした。俗に左脳とも言う左後頭部の領域は通常、言語理解と心理的緊張に関係する部分とリンクしています。言語理解の部分で、ジョークの不一致を解決しようとしているのでしょう。

カリフォルニアのスタンフォード大学で行われたディーン・モブズ (Dean Mobbs) による研究では、ジョークで笑っている時に大脳辺縁系 (自律神経機能・情緒などをつかさどる部分) を検査をしたところ、ドーパミンが放出されていました。つまりこれは面白いジョークを聞くと、快の感情 (喜び) を感じる物質が出るということです。

「快の感情とは、ドラッグやセックス、お気に入りの音楽を聞いたときなどと同じ反応です。これは、我々が生きていくのに非常に重要な基本的な喜びという感情です。」しかし、ユーモアはセックスや食物のような原始的な喜びよりはるかに複雑な過程を経ています。 また、ジョークを理解したときは快の感情だけでなく、脳の正面 (学習や意志決定に関係した部分) も活発になります。 これは人類と類人猿にしか存在しません。ワトソン博士はこの研究からユーモアというものは古代人の頃からあったのではないかと述べています。

男女で脳の構造は同じですが、性別の違いによってユーモアセンスに違いがでるかどうかが研究対象になってきています。最近の脳に関する研究結果では男女でわずかにジョークに対する反応が少し違うようです。どちらも同じくらいの数だけジョークを笑いますが、女性は左前頭葉に男性よりも多くの反応を示しています。これは女性のほうが冗談を理解するために活発に脳を使っているということです。女性の方がユーモアを理解するのに時間がかかりますが、男性よりも笑いをより感じやすいということです。

また、当然と言えば当然ですが、性格もユーモアに大きく関係しています。外交的で行動的な人がユーモアに対して脳の活動が活発です。しかし対照的に神経質な人は一般の人と比べドーパミンの分泌は少ないようです。「私たちがどうユーモアを処理するかは性格が重要であるかもしれない」とディーン・モブズは示唆しています。

どういうユーモアが、脳の神経回路を活発させるかという問題は未だ未解決です。スイスのフリブール大学のアンドレア・サムソンは、90枚の言語的理解を必要としない様々な絵を被験者に見せて、脳の反応を MRI でスキャンしました。その実験から驚くべき結果が出ました。被験者の好きなジャンル (好きな音楽や好きな食べ物) の絵が脳を活性化させると思ったかもしれません。しかし、活性化に最も重要なことはジョークの理解でした。

この研究は社会的にも重要です。ジョークの理解に関する研究が進むことは、医学的にも多大な貢献をもたらします。モブズ氏は、ユーモアの研究は 『憂鬱』 の治療に貢献すると次のように言っています。「憂鬱は快の感情を放出する機能が低下しているからかもしれない。そしてこの複雑なプロセスが解決したら、社会に貢献することになるだろう。」

一方、サムソン氏は、この研究が自閉症の理解に貢献できることを望んでいます。彼の研究で 自閉症の人々がコメディの理解が難しいということがわかりました。さらに研究を深め、一般人と自閉症の人々と同じジョークを理解できるようにする研究を進めています。彼は自閉症の子供とのコミュニケーションの方法が変わるかもしれない研究であると言っています。

前の研究は、自閉症の人々がコメディを理解するのに苦労するのを示しましたが、彼女の仕事は、彼らがだれもと同様にあるタイプの冗談を理解して、鑑賞できるのを示しています(「冗談の整備士」を見てください)。 彼女は、これが私たちが自閉症の子供と対話する方法を変えるかもしれないと言います。

最近の研究では、「何かを認識してそれが何かを確認している」時は、脳がフル回転していることがわかっています。「冗談の理解は直感的なように見えるかもしれないが、裏では脳が様々な計算をしている」とサムスン氏は言いました。

The comedy circuit: When your brain gets the joke

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